最初は、見積書だけでした|小さく作った仕組みが、会社の基幹システムになるまで【AIエージェント基本講座 第4回】


最初は、見積書だけでした|小さく作った仕組みが、会社の基幹システムになるまで【AIエージェント基本講座 第4回】

前回は、お客様に見ていただく外向きの仕事——ホームページの話でした。今回は反対に、社内の仕事です。見積書と請求書。どの会社にもあって、たいてい誰かが手間をかけている仕事だと思います。

この記事の内容を、1分27秒の動画にまとめています(読むより先に、こちらでも)。

株式会社プロタゴ代表の應武です。うちは長いあいだ、見積書と請求書をExcelとスプレッドシートで作っていました。まったくの手書きではありません。それなりに形になったものを使っていました。

ただ、どこかで必ずアナログな作業が残っていました。

目次

ソフトはあるのに、手は動いている

前の見積書から必要な行をコピーして、貼り付けて、数字を打ち替える。自動で計算されるはずのところが、シートをまたぐと繋がっていないので、電卓で足す。請求書を出すときは、見積書を見ながら、もう一度同じ内容を入力し直す。

おそらく、多くの会社で似たようなことが起きていると思います。ソフトは使っている。でも、ソフトとソフトの隙間を、人が手で埋めている。

そして、価格表が変わります

うちの商売では、これがなかなか大変です。

最近は特に、各メーカーさんから値上げのご案内が相次ぎます。仕入先から新しい価格表が届く。ある品目は上がり、ある品目は廃番になり、モデルチェンジで新商品が出る。そのたびに、うちの商品データを更新しなければなりません。

難しい作業ではありません。ただ、数が多い。そして、これを正しくやっておかないと、古い仕入値のまま見積を出してしまいます。利益が合わなくなるのは、こういうところからです。

分かってはいるけれど、丸一日かかると思うと後回しになる。前回お話しした「時間を食う仕事」であり、「後回しになる仕事」でもありました。

思い切って、作ってみることにしました

ここでAIエージェントを使ってみることにしました。ただし、いきなり大きなものを目指したわけではありません。

最初に作ったのは、見積書を作るところだけです。商品を選んで、数量を入れて、印刷できる。それだけの、小さな仕組みでした。

使っているうちに、続きが生まれました

使い始めると、次が見えてきます。

1. 見積書

商品を選んで、数量を入れて、印刷する。ここから始まりました

2. 請求書へ連動

「この見積の内容で請求書を」が一手で済むように。同じ内容を二度入力しなくなりました

3. 顧客の管理

お客様の情報を一か所に。過去のお取引も、そこから辿れるように

4. 商品データ

仕入値と売価を持たせて、価格表が届いたら更新する。いちばん重い作業がここに収まりました

一つずつ足していっただけです。ところが気がつくと、見積・請求・顧客・商品が、一つに繋がっていました。いまではこれが、うちの基幹システムになっています。

最初から基幹システムを作ろうとしたら、たぶん動き出せませんでした

見積書だけ。そう決めたから、始められました。

業者さんにお願いする場合、こうはいきません。最初に全部の仕様を決める必要があります。何が要るかは使ってみないと分からないのに、使う前に決めなければならない。だから見積も大きくなり、話も長くなります。

小さく作って、使って、足す。この進め方ができるのが、いちばん大きな違いでした。

いまは、価格表が届いても困りません

先日も、仕入先から価格改定のご案内が届きました。PDFが五冊。値上がりした品目、廃番になったもの、新しく出たもの。

フォルダに入れて、「うちの商品データと突き合わせて、値上がりと新商品を反映して」と頼みました。一晩で、二百件を超える更新が終わりました。私がやったのは、反映する前に出てきた一覧に目を通して、「これで進めて」と言ったことだけです。

ここでも、書き換える前に一度止まって確認を求めてきます。取り消せないことの前では止まる——第1回でお話ししたとおりです。

使いながら、直しています

できてからも、ずっと直しています。使っていると、必ず出てくるからです。

「請求書もコピーできるように」

毎月同じ内容を出すお客様がいます。頼んだその日に、使えるようになりました

「見積の値引きが、請求書に出ていない」

使っていて気づいた不具合です。原因を調べてもらい、直しました

どれも、業者さんにお願いするには小さすぎる話です。連絡するほどでもない、と思って諦めてきた類のこと。それが、気づいた日に直ります。この積み重ねで、道具がだんだん自社の形になっていきます。

何が変わったか

隙間を手で埋めなくなった

コピー&ペーストも、電卓も、二度手間の入力も無くなりました

古い仕入値で見積を出さなくなった

価格表が届いたら、その週のうちに反映できます

思い通りに、育てられる

小さな直しも、大きな作り替えも、同じように頼めます。使うほど自社の形になっていきます

三つ目が、いちばん大きいかもしれません。「この欄の並びを変えたい」といった細かいことから、「この機能をまるごと作り直したい」という大きな話まで、同じように頼めます。費用や日程を気にして遠慮する必要がないので、思いついたことをそのまま試せる。使いながら、自社の思い通りに育てていけます。買ってきた道具では、こうはなりませんでした。

大きなシステムを作ろうとしたわけではありません。見積書を楽にしたかった。ただそれだけでした。使っているうちに、請求書が繋がり、顧客が繋がり、商品が繋がった。気がついたら、会社の真ん中にある仕組みになっていました。

— 株式会社プロタゴ 代表 應武勝幸

次回で、最終回です

二回にわたって、うちの例をお見せしました。ホームページと、見積・請求の仕組み。どちらも、長いあいだ諦めていた仕事でした。

とはいえ、これはほんの一部です。会社の仕事は、まだいくらでもあります。次回は最終回として、では、どこから始めればいいのかをお話しします。

📘 連載「AIエージェント基本講座」(全6回)

  • 第0回 AIは「答える」から「仕事をする」へ|AIエージェントとは何か
  • 第1回 どのAIエージェントを使えばいいのか|Claude Code、Codex、そして自社に合うものの選び方
  • 第2回 何を任せればいいのか|後回しの仕事、時間を食う仕事、諦めていた仕事
  • 第3回 このホームページも、AIエージェントと作りました|最初に渡したのは、会社の方針でした
  • 第4回 最初は、見積書だけでした|小さく作った仕組みが、会社の基幹システムになるまで(この記事)
  • 第5回 社長が使わないと、会社には落ちません
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

應武 勝幸のアバター 應武 勝幸 代表取締役|    株式会社プロタゴ

株式会社プロタゴ代表取締役。
岡山を拠点に、ビジネスフォン・防犯カメラ・OA機器・オフィス環境機器の
販売・設置を手がける。
「主人公を応援する」という経営理念のもと、
岡山の中小企業経営者が本業に集中できる環境づくりを支援している。

目次