社長が使わないと、会社には落ちません|まず、触ってみてください【AIエージェント基本講座 第5回・最終回】

社長が使わないと、会社には落ちません|まず、触ってみてください【AIエージェント基本講座 第5回・最終回】
この記事の内容を、1分23秒の動画にまとめています(読むより先に、こちらでも)。
株式会社プロタゴ代表の應武です。最終回は、では何から始めればいいのか、というお話です。
その前に、一つだけお伝えしたいことがあります。これが、この連載でいちばん申し上げたかったことかもしれません。
社長が使わないと、会社には落ちません
「AIを使ってみてくれ」と誰かに任せる。よくある始め方だと思います。ただ、私の実感では、それでは会社に根づきません。理由は三つあります。
一つ目:どの仕事を任せるかを決められるのは、社長だけだからです
第2回で「後回しになっている仕事、時間を食う仕事、諦めていた仕事」を挙げました。会社の中でどれがいちばん重いか、どれを先に手をつけるべきか——これが分かるのは経営者です。担当者は、自分の持ち場は分かりますが、会社全体の重さは見えません。
二つ目:会社のことを説明できるのは、社長だからです
第3回で、ホームページを作るときに最初に渡したのは会社そのものだったとお話ししました。理念、いま考えていること、課題、競合の中での立ち位置。これを言葉にできるのは、経営者しかいません。
ここを渡さずに始めると、当たり障りのないものしか返ってきません。会社の色が出ないのです。
三つ目:社長が触っていないと、「これも任せられる」に気づけないからです
これが、思っていたよりずっと大きいことでした。
自分で使っていると、別の仕事をしているときに「これも頼めるんじゃないか」と急に思いつきます。うちの見積の仕組みも、ホームページも、そうやって始まりました。使っていない人には、この思いつきが起きません。「AIで何かできないか」と会議で考えても、出てこないのです。
だから、まず社長ご自身が触ってみてください。担当者に任せるのは、そのあとで構いません。
まず、触ってみてください
難しく考える必要はありません。会社ごとに事情は違いますし、やっている仕事も違います。ご自身の会社で、毎日・毎週・毎月やっていることを思い浮かべて、一つ渡してみる。それだけで十分です。
できれば、有料版から始めてください
一つだけ、おすすめがあります。最初から有料版を使ってください。
同じAIエージェントでも、無料版と有料版では、いわば頭の出来が違います。無料版で試して「思ったほどではないな」と感じて終わってしまうのが、いちばんもったいない。せっかく試すなら、良い方で試していただきたいと思います。
うちが払っているもの
第1回で「費用は正直に書きます」とお約束しましたので、うちの実際をそのまま書きます。
- Claude Code の Max プラン——いちばん上のプランを契約しています。これが基盤です
- Codex の有料版——こちらも契約しています
- 音声入力のアプリ——月額千円ほど。キーボードが苦手な方は、これがあると別物になります
このほかに、画像を作るAIや、音声を作るAIも使っています。この連載の動画も、そうやって作りました。ただ、それらはあれば便利、という位置づけです。
会社の仕事の基盤になっているのは、AIエージェントです。ここにいちばんお金をかけています。逆に言えば、まずはここだけで十分に始められます。パソコンも、いまお使いのもので構いません。
金額は各社の公式サイトでご確認ください。プランの内容も価格も、わりと頻繁に変わります。ここで大事なのは、無料版ではなく有料版を選ぶ、という一点です。
何に使うかは、自由です
ここが、経営者にとっていちばん面白いところだと思います。上から下まで、どこにでも使えます。
経営者にしかできない仕事に
- 理念を問い直す——何のために商売をしているのかを、改めて言葉にしてみる
- ビジョンをまとめる——頭の中にある構想を、一枚の形にしていく
- 経営方針を固める——今年どこに力を入れるかを、順序立てて考える
一人で考えていると、どうしても堂々巡りになります。壁打ちの相手がいると、考えが進みます。しかも、会社の資料を全部読ませたうえで話せます。
足元の、細かい作業に
- 小口現金の処理——領収書を写真に撮っておけば、まとめて一覧にして、経理担当にそのまま渡せる形にする
- 毎月の同じ集計——一度やり方を決めたら、翌月からは頼むだけ
- 書類の整理——ファイル名を社内のルールに揃えて、年月別に分ける
理念のような大きな話と、領収書のような足元の話。その両方に、同じ道具が使えます。こんな道具は、これまで無かったと思います。
そして、触っているうちにアイデアの方から出てきます。私もそうでした。最初から計画があったわけではありません。
ひとつだけ、決めておいてください
始める前に、これだけは決めておくことをおすすめします。難しい話ではありません。
取り消せないことは、人が押す
本番に反映する、送信する、公開する、支払う。最後のボタンは必ず自分で押してください
パスワードは渡さない
ログインは自分でして、その後の作業を任せる。うちはこの形でやっています
AIは間違えます。だからこそ、この二つを決めておけば安心して任せられます。決めるのは、いつも人です。
その先を、ご一緒できれば
触ってみると、たぶんこうなります。「これは使える」と分かる。同時に、「では、うちの本当の仕事にどう組み込むか」で止まります。
どの仕事から手をつけるか。会社のことをどう説明すればいいか。どこまで任せて、どこで止めるか。ここは、会社ごとに答えが違います。
プロタゴは、市販のソフトを売る会社ではありません。岡山県内の中小企業様の実際の書類と、実際の仕事を一緒に見て、最初の一つを決め、自社専用の小さな仕組みを一緒に育てていきます。うちが自分の会社でやってきたことを、そのままお手伝いする形です。
私はITの専門家ではありません。プログラムも書けません。それでも、この一年で会社の仕組みがずいぶん変わりました。特別なことをしたわけではなく、毎日少しずつ触っていただけです。まずは、社長ご自身で触ってみてください。そこから先は、ご一緒できれば嬉しく思います。
— 株式会社プロタゴ 代表 應武勝幸
全6回、お読みいただきありがとうございました
この連載では、AIエージェントという道具の話をしてきました。答えるだけのAIと、仕事をするAIの違い。道具の選び方。何を任せるか。そして、うちの例を二つ。
お伝えしたかったのは、一つだけです。思っているより、ずっと手が届くところにあります。あとは、触ってみるかどうかだけだと思います。
- 第0回 AIは「答える」から「仕事をする」へ|AIエージェントとは何か
- 第1回 どのAIエージェントを使えばいいのか|Claude Code、Codex、そして自社に合うものの選び方
- 第2回 何を任せればいいのか|後回しの仕事、時間を食う仕事、諦めていた仕事
- 第3回 このホームページも、AIエージェントと作りました|最初に渡したのは、会社の方針でした
- 第4回 最初は、見積書だけでした|小さく作った仕組みが、会社の基幹システムになるまで
- 第5回 社長が使わないと、会社には落ちません|まず、触ってみてください(この記事)
