名刺を直せる人が、社内にいなくなりました|AIがIllustratorを動かして、入稿まで1日で終わった話

名刺を直せる人が、社内にいなくなりました|AIがIllustratorを動かして、入稿まで1日で終わった話
名刺のデータを直せる人が、いなくなっていた
名刺や封筒、チラシのデザインデータは、多くの場合「Illustrator(イラストレーター)」という専門のソフトで作られています。プロタゴでも、これまで名刺を作って発注していたのは、このソフトを扱えるスタッフでした。
そのスタッフが退職したあと、名刺を作り直したいと思ったときに困りました。元のデータはあるのに、開いて直せる人が社内にいないのです。文字を1つ直すにも、外に頼むか、内容が古いまま増刷するか。
作り直したかった理由は、事業の中身が変わってきたことです。下がこれまでの名刺ですが、表のキャッチは「事務所・店舗の電話・LAN・電気・空調専門工事店」。いまのプロタゴは、防犯カメラや、AIを使った業務改善のお手伝いにも力を入れています。名刺も、それに合わせたいと考えました。

「あの人しか触れないファイル」は、名刺に限らず、多くの会社にあるのではないでしょうか。今回は、それをAIと一緒に直してみました。
進め方は「決めるのは人、手を動かすのはAI」
① 案を広げる:いろいろなデザインを並べてみた
最初に、画像を作るAIにロゴと会社の色、載せる情報を渡して、名刺のデザイン案をいくつも描いてもらいました。下はその一部です。

どれもきれいな案でしたが、應武が選んだのは「いまの名刺を基本にして、中身を新しくする」でした。ボルドーの帯、イラストのアイコン、右上のQRコードという形はそのまま残し、言葉と内容を入れ替えることにしたのです。たくさん並べて見比べたからこそ、何を残すかを決められたのだと思います。
② 中身を決める:表はサービス、裏は目指す姿
表のキャッチは「オフィスの電話・ネットワーク・防犯カメラ、そしてAI活用まで。」に。下のアイコンは、電話・複合機・防犯カメラ・エアコンのイラストを元のデータからそのまま使い、「ネットワーク」と「AI活用支援」の2つを新しく加えました。
裏面は、メモ欄だった場所を会社の考え方を伝える面にしました。「主人公を応援する」という理念と社名の由来、そして「機器を届ける会社」から「IT活用を支援する会社」へ。そして・・・という、これから目指す方向。右側に私の写真と、公式サイトに飛べるQRコードを入れています。
③ 大きさを詰める:実物大で印刷して、番号で直す
画面で見るときれいでも、名刺は小さな紙です。最初の版を印刷した應武の感想は「全体的に文字が小さくて見にくい」でした。
そこで、A4の紙に新旧の名刺を実物大で並べて印刷できる比較シートを作りました。さらに、文字の要素ごとに①②③…と番号を振った図を用意し、「①を1段大きく」「⑧⑨⑩の間隔をそろえて」と番号で指示できるようにしました。言葉で説明しにくい細かい直しも、これなら一言で伝わります。
このやり取りを何度も繰り返しましたが、すべて同じ日のうちに終わりました。應武はこう話しています。
細かい修正を何度お願いしても、AIは嫌な顔をしません。人に頼んでいたら「これで何回目だろう」と遠慮してしまうところですが、遠慮なしに納得いくまで直せる。これがいちばん良かったですね(笑)
— 株式会社プロタゴ 代表 應武勝幸
Illustratorを動かしたのも、AIでした
今回いちばん大きかったのは、ここです。決まったデザインを印刷用のデータにする作業、つまりIllustratorの操作そのものを、AIが行いました。
- 以前の名刺のデータ(印刷会社の型)を開き、ロゴやアイコンなど使える部品はそのまま流用
- 新しい文字・アイコン・写真・QRコードを、決めた大きさと位置に配置
- 文字を図形に変える処理など、印刷会社に渡せる形式に整えて書き出し
- ネット印刷の注文画面へのデータのアップロード
私たちが使っているのは、パソコンのソフトを直接操作できる「AIエージェント」です(どんなものかは連載「AIエージェント基本講座」で紹介しています)。Illustratorを扱えるスタッフがいなくても、ソフトと元のデータさえあれば、AIが代わりに手を動かせるのです。
一方で、應武がやったことは次の3つだけでした。
① 方向を決める(どの案にするか・何を載せるか) ② 番号で直しを伝える ③ 印刷会社へのログインと、最後の注文の確定
お金が動く最後の「注文する」は、必ず人が押します。決めるのは人、手を動かすのはAI。この線引きは、名刺に限らず、私たちがAIを使うときにいつも守っていることです。
できあがった名刺

裏面の丸い写真が私です。名刺をお受け取りの際は、ぜひ裏返してみてください。QRコードから、サイト・ブログ・動画にご案内しています。
「あの人しか触れないファイル」は、ほかにもありませんか
今回は名刺でしたが、同じことは会社のあちこちで起きています。
- 封筒やチラシ、パンフレットのデザインデータ
- 前任者が作ったエクセルのマクロや集計表
- 作った人がいなくなって、誰も更新できないホームページ
うまく進めるコツは2つあると感じました。1つは、元のデータを残しておくこと。今回もロゴやイラストのデータが残っていたから、絵柄を作り直さずに済みました。もう1つは、最後の確認は実物で、人の目で行うこと。印刷物は刷ってから気づいても戻せません。画面ではなく、実物大で見て決めることが大切でした。
プロタゴでは、会社の封筒など、ほかの印刷物もこのやり方で直していけます。「担当者が辞めて、触れなくなったものがある」——そんなときは、捨てたり外に頼んだりする前に、一度ご相談ください。
自社のホームページを作り直した話は「ホームページは、頼まないと直せないものだと思っていました」に書いています。
🛠 「直せる人がいない」でお困りの岡山県内の中小企業様へ
名刺や印刷物のデータ、前任者のエクセル、更新できないホームページ——手元に残っているデータを拝見して、AIと一緒にどこまで直せるかをご提案します。
📚 あわせて読みたい:AI活用の記事を目的別に整理した「中小企業のAI活用 完全ガイド」もぜひご覧ください。
