私の「顔」は425枚あります|AIで作った人物写真を、毎回別人にしない方法【連載②】

私の「顔」は425枚あります|AIで作った人物写真を、毎回別人にしない方法【連載②】
この記事の内容を70秒で紹介しています(この動画も、映像・音声ともにAIで制作)
😰 AIで人物を作った人が、最初に必ずぶつかる壁
こんにちは。株式会社プロタゴのAIコーディネーター、稀結塚あいです。前回は代表の應武が「なぜ私を作ったのか」をお話ししました。今回からは、私自身が自分の作られ方をご説明します。
画像生成AIを使えば、それらしい人物写真は10秒で1枚できます。ここは、正直まったく難しくありません。難しいのはその先です。
2枚目を作ると、別人が出てきます。髪の長さが違う。輪郭が違う。同じ指示を出しているのに、なぜか同じ人にならない。3枚目は3人目、4枚目は4人目——気づけば「そっくりさんの集団」ができあがっています。
会社のキャラクターとしては、これでは使えません。ホームページのページごとに顔が違ったら、「AIで作ったんだな」と思われる前に、そもそも誰なのか分からないのです。
私の顔は、現在425枚あります。そのうち実際に使っている合格分が218枚。1年近く作り続けて、「別人になってしまった」という理由で使えなくなった写真は、1枚もありません。
顔を固定するのに、特別な技術は使っていません。やっているのは「基準を1枚決める」「顔の特徴を文章にする」「作った写真を仕分ける」——この3つだけです。
🖼️ 1. 基準を「1枚」決める
いちばん大事なことから言います。最初に、これが基準ですという写真を1枚だけ決めてください。
私の場合、それは「マスター画像」と呼ばれる1枚です。紺のジャケット、白いブラウス、栗色のゆるいウェーブロング、細いネックレス。この1枚が、私という人物の出発点です。
ポイントは「1枚だけ」というところです。「この3枚のどれでもいいから似せて」とお願いすると、AIは3枚の中間を作ろうとして、どれとも違う顔になります。基準が複数あるのは、基準がないのと同じです。
そして、新しい写真を作るたびに、このマスター画像と並べて見比べます。記憶で「だいたい合ってる」と判断すると、1枚ずつのずれは小さくても、10枚後には別人になっています。
あいの写真が上がってくると、私はまずマスター画像と並べて見ます。少しでも「あれ?」と思ったら採用しません。似ていない顔は、お客様のほうが先に気づきます。
株式会社プロタゴ 代表・應武勝幸
📝 2. 顔の特徴を「文章」にして、毎回そのまま使う
次に、私の顔の特徴を文章で書き出した「基準書」を作っています。大事なのは、「かわいい女性」のような曖昧な言葉を使わないことです。AIにとっての「かわいい」は毎回違います。そうではなく、こう書きます。
- 輪郭は、やや面長から卵型。すっきりしたフェイスライン
- 目は、やや切れ長のぱっちりした二重。黒からダークブラウンの瞳
- 髪は、胸あたりまでのロング。栗色のゆるいウェーブ。前髪は長めで自然に流す
- 口元は、口角を上げた控えめな微笑み。大きく開けて笑わない
さらに大事なのが、「こうなってはいけない」も書いておくことです。私の基準書には、こんな項目があります。
- 重い前髪・前髪パッツン・ショートヘアはNG
- 髪色を黒髪や金髪に大きく変えるのはNG
- 幼すぎる・老けすぎる年齢感はNG
- 過度なメイク、八重歯、口を大きく開けた笑いはNG
この基準書を毎回、写真を作るときの指示に丸ごと入れます。服装や背景はその時々で変えますが、顔と髪の記述だけは絶対に触りません。「今回は少し雰囲気を変えてみよう」——それをやると崩れます。
実際にあった失敗:前髪が下りると、別人になります。使う道具を変えたときに、私の前髪が下りて重くなり、まったくの別人が出てきたことがありました。眉が隠れると顔の印象は劇的に変わります。だから基準書には、わざわざ「前髪は長めで自然に流す」と書いてあるのです。
🗂️ 3. 作った写真を、その日のうちに仕分ける
3つめは地味ですが、実は一番効いています。作った写真を放置しないこと。プロタゴでは、写真をこの順番で流しています。
- 受入箱(Inbox)に入れる——新しく作った写真は、まず1か所に集めます。デスクトップやダウンロードフォルダに散らばらせません
- 合否を判定する——1枚ずつ見ます(何を見るかは次の章で)
- 中身が分かる名前を付ける——「image_001」ではなく「ライトグレーの服・窓辺・上半身」と分かる名前にします
- 行き先を決める——合格は保管庫へ、特によく撮れたものは「よく使う」棚へ、保留は理由を書いて別の棚へ。削除はしません
- 対応表に記録する——どのファイルが何の写真か、一覧表に書き足します
実際にあった失敗:ファイル名と中身が一致しなくなりました。初期に作った写真は、名前だけ見て選べる状態ではありませんでした。「複合機」という名前のファイルを開いたらサーバーラックが写っている、といった具合です。以来、写真を選ぶときは必ず対応表を開くことを社内ルールにしました。名前で選ぶと事故になります。
2026年7月には、1日で199枚をこの流れで処理しました。数が多くても、型が決まっていれば流れ作業でさばけます。逆に、型がないまま溜めてしまうと、もう手がつけられません。
🔍 検品で必ず見る4か所
AIが作る人物写真は、だいたいこの4か所のどれかで失敗します。
| 見る場所 | 何が起きるか |
|---|---|
| 顔(別人化) | 髪型・輪郭・年齢感がずれる。特に前髪と眉。基準画像と並べないと気づけない |
| 手と指 | 指が6本になる、指どうしがくっついて溶ける。拡大しないと見えません |
| 画面や書類の文字 | パソコンの画面や資料に、日本語らしき崩れた文字が出る。縮小表示だと気づけない |
| ロゴ・商標 | 実在するメーカーのロゴが勝手に写り込むことがある。そのまま使うと権利の問題になる |
10秒で作った写真を、数分かけて検品する。手間のかかり方が逆に見えるかもしれませんが、この検品を飛ばした写真は必ず後で困ります。
📖 まとめ:「いつ見ても同じ人がいる」ことが信頼になる
私の顔が425枚あって、そのすべてが同じ人物に見える。これは技術がすごいのではなく、基準を決めて、それを守り続けているだけです。道具は、マスター画像1枚と、顔の基準書1つと、仕分けの型1つ。それだけです。
逆に言えば、基準を決めずに使うと、AIはいくらでも揺れます。多くの会社がAI活用でつまずくのは、AIの性能ではなく、この「基準を決めて守る」ところなのだと私たちは考えています。
そしてこの3つは、人物写真だけの話ではありません。見積書のひな形も、会社の案内文のトーンも、考え方はまったく同じです。基準を1枚決める。特徴を文章にする。作ったものをその日のうちに仕分ける。——AIで何かを作るとき、全般に効きます。
次回・第3回は声編です。動画で聞こえている私の声も、AIで作られています。顔と同じように、声にも「マスター」があります。どうやって固定しているのか、そして設定を戻し忘れて危うく別人の声になりかけた話も、正直にお話しします。
🤖 「うちでもAIで何か作ってみたい」と思ったら
岡山県内の中小企業様のAI活用・業務アプリ開発を、プロタゴが伴走してサポートします。この連載でお見せしている考え方は、写真に限らず、書類・文章・社内データの整理にもそのまま応用できます。まずはお気軽にご相談ください。
- 第1回:うちの会社紹介は、全部AIで作っています
- 第2回:写真編——「顔」を別人にしない方法(この記事)
- 第3回:声編(近日公開)
- 第4回:動画編(近日公開)
- 第5回:公開編(近日公開)
- 第6回:費用と時間のまとめ(近日公開)
